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イベントレポート|自分の“スキ”を原動力に、企業で仕事をする

去る1月13日、就活生を対象にしたトークイベント「自分の”スキ”を原動力に、企業で仕事をすること」が、オフライン・オンラインで同時開催されました。森ビル人事部と森ビルnote、初の連動企画となる本イベントでは、これまで記事に登場した村田麻利子さん、栗原豪平さんの2名がスピーカーとして登壇。森ビルnoteの伊藤編集長が進行役を務めました。
 
キーワードとして度々登場したのは、イベントタイトルでもある「スキを仕事にする」ということ。彼らは、幼少期や学生時代に見つけた自分の“スキ”を、森ビルの仕事“街づくり”とどう結びつけているのでしょうか? 学生からも質問が飛び交い、盛り上がりを見せた当日の様子をお伝えします。

▼登壇者プロフィール:
村田 麻利子|Mariko Murata

2012年新卒入社。都市開発本部環境推進部所属。スキな植物は大きな木、スキな生物はエナガという鳥(アークヒルズに出没情報あり)。

栗原 豪平|Gohei Kurihara
2018年新卒入社。タウンマネジメント事業部所属。スキなイベントは電子音楽フェス、スキな木材は弦楽器などにも使われる黒檀。

伊藤 優香|Yuuka Ito
2010年新卒入社。広報室所属。スキな場所は図書館と古い建物、特に上野の国際子ども図書館がスキ。


学生時代、なにがスキだった?

オフラインの会場となったのは、虎ノ門ヒルズ ビジネスタワーに位置する、インキュベーションセンター「ARCH」。夕刻のイベントは、終始リラックスしたムードで進みました。トークはまず、学生時代にスキだったこと、そして就職活動の話からスタートしました。

伊藤:今回は「自分の“スキ”を原動力に、企業で仕事をすること」をテーマにお話しします。2人は学生時代、なにがスキで、どんな活動をしていましたか?
 
村田:小さい頃、海外に住んでいたこともあり、帰国後に東京の街を見て「これはいい街なのか?」と強く疑問を感じたんです。そのことが原動力となり、大学で建築学科に入って街を学ぶことにしました。「そもそも街の何がスキなのか」と考えると、街に積み重なる様々な時代の文化の痕跡、老若男女、色々な人々がそれぞれの暮らしを紡ぐ様子に興味があって。なので建築学科のなかでも、建築の歴史や都市の成り立ちを選考して学んでいました。

村田 麻利子:入社12年目。現在は環境推進部で、世界の潮流に合わせ森ビルらしい環境への姿勢を検討するなど、具体的な取り組みをリードしている

栗原:僕は祖父母が農家、父がレコードショップを営む家で育ちました。自然が身近にあり、小さい頃は畑や田んぼで遊び、また動植物と触れ合うこともスキでした。一方、父の影響で音楽やファッション、カルチャー、といったことにも興味があって。自然との共生、人間の生活、そのための空間づくりといったことが結びついて、僕も建築学科に進学しました。木材フェチでもあったので、学生時代は建築学科の中でも珍しく「林業と木材、街づくり」をテーマに研究をしていました。

栗原 豪平:入社6年目。現在の所属はタウンマネジメント事業部。盆踊りやクリスマスマーケット、イルミネーションなど、六本木ヒルズで行うイベントの企画運営を担当している

伊藤:そうだ、そういえば今回は2人とも建築学科出身でした。建築や理系出身だと、学生時代の興味と就職先が直結している社員も多いかもしれません。私は文系出身ですが、ディベロッパーに興味をもったきっかけは「首都高がスキ」という、ちょっとマニアックな視点からでした。なので、学んできたこととは関係ないかも…と思う文系の方も安心してください。ちなみに先ほど話していた「スキ」は、志望動機として実際に話していましたか?
 
村田:都市や建築の「歴史」に興味があったので、学生の頃は、古いものを残すことで街を盛り上げたかったんです。就職活動の最初の頃は、たとえば行政で「この建造物は保護しよう」と決めるなど、文化財や街の保全に関わりたいと考えていました。でも突き詰めて考えると、興味があるのは文化財の保全ではなく、「今この街にあるといいもの」をみんなで考えること、それが歴史として積み上げられていく過程、都市の歴史を紡いでいくこと、そういった都市のレイヤーに興味があると気づいて。未来の東京をつくっていける会社ってどこだろうという目線で探したときに、「これは将来に残りそう」と思ったのが、六本木ヒルズやアークヒルズ、森ビルの街だったんです。それで森ビルを志望するようになったので、志望動機でもそのまま話していました。
 
伊藤:ちなみに今日は、オンラインでも随時質問やコメントをもらっています。ちょうど今、大学で映像を学んでらっしゃる学生さんから、<私は色彩のグラデーションがスキです。グラデーションのような繋ぎ目を意識する視点は、ディベロッパーとして都市と人、都市と自然を繋ぐことにも役立てられそう>というコメントがありました。ディベロッパーの採用面接では、「どの街が好きですか?」と聞かれることがありますが、今この街、この場所、という「点」ではなく、街の「時間軸」「レイヤー」で考えるのも面白い視点ですね。
 
栗原:僕は大学で街づくりの研究をしていたので、ぱっと見、非常に森ビルに近そうに見えると思います。でも実は、理系であることや建築学科卒を意識した就活はしていなくて。ディベロッパー業界の面接でも、設計よりも企画や運営の仕事をしたいと話していました。志望動機も、建築学科での経験よりも「こういう街づくりがしたい」「なぜなら自分はこういう街がスキだから」と、素直に話していました。理想論かもしれないけれど、「街の一つ一つが個性や色を体現していけたら、東京全体が魅力的になる」と本気で思っていて。森ビルならそれが出来ると思ったので、志望動機ではそんなことを話していました。

伊藤:飾らない自分と企業とのマッチングというのか、面接や志望動機で「ありのまま話せる」ことは、結構重要な気がします。人生において社会人として活動する時期はなかなか長いですから。就職活動の話でもう一つ、「森ビルなら自分のスキが活かせる」と思えたポイントはどこにありましたか?
 
村田:色々あるんですけど、まず形ですね。六本木ヒルズみたいなビルって、東京のどこにもないと思って。なんでああいう形になったんだろう?と気になったんです。あと、複合開発で様々な用途が混じり合っているから、色々な人が多様な活動をしていること。その様子は、私が街をスキな理由がぎゅっと凝縮しているなって感じました。あともう一つ心を掴まれたことがあって。六本木ヒルズの毛利庭園に「宇宙メダカ」というメダカがいるんですが、この子たちは実験によって初めて宇宙で誕生したメダカの子孫なんです。宇宙メダカは一般の河川に放流することが禁止されているんですが、毛利庭園の毛利池は、外部の川と繋がっていないからこの場所に放流できた。そしてこの毛利池も、元は江戸時代の大名屋敷の庭園、と歴史をもっていて…。森ビルが街づくりをしなければ、最新の都市と大名屋敷のお庭、こんな出会いや重なりは生まれなかっただろうなと面白く感じました。
 
伊藤:「都市のレイヤー」を、メダカから感じたんですね。
 
村田:はい。この話も、面接で話した気がします。

仕事をしながら、もっとスキが増えていく

入社後も、スキの熱量を持ち続けていくことは大変というイメージを持つ人も多いはず。つづいて2人に「森ビルに入ってからスキがどのように変化していったのか」と聞くと、それぞれ意外な変化があったといいます。

伊藤:仕事を始めてから、元々あったスキに変化はありましたか?
 
栗原:僕は、森ビルに入ってスキが増えたなと思います。もともとオタク気質というか、この歳になっても、見たことのない植物や虫が道端にいたらグーグルレンズで調べたりしていて、好奇心が強くて知らないものに対するアンテナは高いタイプなんです。この会社で働いていると、知らなかったものに触れる機会がさらに多くて、どんどん色んなことが気になるようになっています。例えば今所属しているタウンマネジメントの仕事で街の花壇を管理するようになってからは、「あ、花って今まであんまり詳しくなかったな」と足を突っ込むうちに面白くなって、自宅のベランダでも花を育てるようになりました。ちなみに、今日はカバンの中にチューリップの球根が入ってます。
 
伊藤:春ですね(笑)。
 
村田:私も仕事をしながら、スキが増えていくことを感じています。現在の環境推進部の業務では、街づくりで発生する膨大なエネルギーやCO2の排出量などに対して企業として何ができるのか考える立場にいます。元々の専門ではないですし、知らないことだらけだったのですが、仕事で関わりながら勉強も続けるうちに、最近はスキの先に使命感のようなものを感じます。「今これをやらなければ!」「地球が!」という気持ちと共にどんどんやりたいことが出てきて、そのうちの一つとして、ワンウェイプラスチック削減チャレンジというプロジェクトを立ち上げました。

伊藤:村田さんが環境のことを話しているとき、すごく愛を感じます。ワンウェイプラスチック削減チャレンジは、村田さんが発起人となって会社を巻き込んでいったんですか?
 
村田:部署の先輩と2人で立ち上げました。環境問題は昨今世界中の課題でもあり、比較的推進しやすい分野ではあると思います。ですが、周りを説得して巻き込むためには相応のロジックも必要だし、それまでのやり方を変えていくには手間もコストもかかります。でも理解を得て協力して頂かないと進められないので、一人一人からお話を聞きながら、取り組む理由を説明してまわりました。相当しつこかったと思います。
 
伊藤:栗原さんは、現在のタウンマネジメント事業部の前は管理事業部に5年以上所属していました。冒頭で話されていた音楽や自然といったスキなことからは多少距離もあるようにも思いますが、どうやって自分らしさを反映していったのでしょうか?
 
栗原:僕はオタク的なところがありますが、社会に出て感じたのは、それはけっこう求められる要素なんだなということでした。色々なものごとに対して興味を持ち、スキになれる能力、と言い換えられるかもしれません。広く浅く、という言葉がありますが、僕の場合は「広く、所々深く」。全く知らないことでも興味をもって飛び込み、突き詰められる性質を、アイデンティティとして大事にしていました。森ビルはとことんこだわるディベロッパーだといわれることがありますが、そこが自分とマッチしている確信があったので、その姿勢は入社当初から貫いていました。
 
伊藤:オンラインの方から、<森ビルの方々は、仕事も趣味の一環と捉えて楽しく仕事をしているという印象を受けました。>というコメントを頂きました。実際のところ、お2人はどう感じていますか?
 
村田:私も周りの社員も、あまり仕事とプライベートに線引きしない人が多いように感じます。特に環境推進部にいると、全てのことが地球環境と関わりがあるし、そもそも都市自体がそうですよね。人の営みの全てに関わることだから、休日でも気になっちゃいます。

栗原:僕の周りも、そういう人が多いと思います。音楽がスキな社員同士で休みの日にスタジオで一緒にセッションをしたり、曲をつくったりもしますし。実は僕自身は、入社当初は完全に切り分けたい派だったんです。でも自然と、仕事と趣味の境目がシームレスになっていって、そこから双方に良い影響を与え合うようになったと感じていて。「音楽を森ビルのこういうところで展開できないかな」みたいなアイデアを休日のスタジオで話していたりして、趣味で得た知識が意外と仕事に使えることが結構あったりします。
 
伊藤:「スキを仕事にする」をテーマに話していましたが、仕事でスキが増えることでプライベートも豊かになるということも、確かにありますね。都市は人間のあらゆる活動の舞台であるからこそ、全てのことが仕事になりうるし、逆に自分がその舞台上で楽しむということもできるんだと思います。

スキはチャレンジの原動力になる

さらに、2人がそれぞれのスキを軸に「これから森ビルで挑戦していきたいこと」にも話が広がり、より自分のスキを実現するための道のりが見えてきました。

伊藤:現在のスキや興味から、今後どのようなことに挑戦していきたいですか?
 
村田:プラスチックの問題を初め、日々大量の廃棄物が出ている現状をなんとかしたいです。今まで日本はリサイクル大国だと言われていましたが、突き詰めていくとまだまだ足りない部分も多く、廃棄物を出さないための基盤ができてないという課題があります。まだまだ構想段階ではありますが、より使い捨てを減らし、資源が循環できていると人々が体感できるよう、街全体で取り組もうとしています。麻布台ヒルズは、Green&Wellnessをテーマに、自然環境や人の営みを根本から考え、色々な仕掛けも取り入れました。訪れてくださる方にそれらを体感してもらいながら、「あ、こういう風に暮らすと、地球に負荷をかけずに、でも豊かに暮らしていけるんだ」と実感できるようにしていきたいです。それが実現出来たら、世界に自慢できるし、世界から学びに来てくれて、私たちもまた世界から学べるはず。そんなことを頭に描いています。

栗原:僕はこれからも、こだわりを持って自分のスキを広げ、深めていきながら、それを自分の武器にしてビジネスにしていくことを大切にしていきたいです。それと、昔から持っているスキの一つ、音楽を街に組み込むことをずっと考えています。実はちょうど昨日嬉しいことがあって。森ビルnoteで音楽のことを話していたこともきっかけになって、社内の新しいプロジェクトの打ち合わせの席に参加させてもらったんです。僕は噛みついたら離さないスタイルなので、いつか実現したいです。

伊藤:最後に、2人から学生の方々へメッセージをお願いします。
 
村田:今みなさんが持っているスキは、仕事をやってみることで広がって、進展して、変化していくと思います。ぜひ、ちょっとでも興味があると思ったら足を踏み入れてください。その一歩が、まだ出会っていない自分自身との出会いにつながると思います。まずは自分のスキを大事にしてみる。一方で「この会社でこの仕事が出来ないと嫌」と固持するよりも、心を開いて飛び込んでみると、そこから思ってもみなかった世界につながることもあります。何事も、オープンな気持ちで取り組むことが大事だなって思います。
 
栗原:スキにも、なんとなく興味がある、結構スキ、溺愛、など色々あります。そんな中で「これはどんどん深掘っていきたい」とこだわりを持って、このジャンルに関しては誰にも負けないと言えるほど大スキなことを、ひとつでも持っておくことが大切だと思います。僕自身、そういうこだわりを持っている方と一緒に働きたい。たとえ今あるスキが直接仕事に関係しないと思えても、ぜひそこに愛を注いでみてください。

「社員のスキ」から、企業研究を深めてみる

イベント終了後、改めて登壇者の2人に森ビルnoteや今回の登壇を通して得たことを伺いました。

―トークイベントに登壇して、どんな発見や気づきがありましたか?
 
栗原:僕が学生だった頃は、「スキを仕事にしようとする考えは甘い」と言う人が結構いたんです。でも、実際に就職した企業にきちんと根を張って、働き続けられるのだろうかと考えた時に、スキという気持ちなしにただ仕事をこなすだけでは苦しくなってしまうのではという危惧があって。当時の僕はスキを貫きましたが、今回学生の方の声も聞いて、同じような葛藤を抱いている方は結構多いんだなと感じました。そんな悩みに対して、今の自分の言葉でスキを大切にする意義が伝えられたのかなと思いました。
 
村田:普段の採用イベントでは、会社の紹介や業務の内容を説明するものが多いですが、スキをテーマに扱った今回は、私は何を伝えられるのかと考えさせられました。自分の身近な感情が軸になっている分、採用説明会というよりゼミの後輩の進路相談に乗っているような、近しい目線でお話していた気がします。
―トークイベント終了後には、学生から個別の質問を受ける時間も設けられました。学生との交流を通して気づいたことはありましたか?
 
栗原:学生と話していて、「スキなことを仕事にするというより、スキであることを大事にする方がいい。そこからスキを追求していくことで、解像度も上がっていくはず」という言葉が出てきたことも、1つの気づきになりました。
 
村田:こちらが自己開示しているからなのか、学生さんも自分の思いを素直に話してくれて。共感するポイントも多く、人間味溢れる会話でした。企業研究を進める中で、企業の規模やプロジェクトの特徴、業務内容などから比較されることが多いのかなと思います。そこにもう一つ、中で働く社員一人一人が「どんなスキを抱いて、どう仕事に反映しようとしているのか」にも注目してみると、それぞれの企業の「らしさ」が見えてきて、社会人として自分が働きたいイメージ像も、よりリアルに沸いてくるのかなと思いました。


社員の想いをありのままに伝えた、今回のトークイベント。参加した学生からは、「スキを広げて追及できることに魅力を感じた」「目指す社会人像を考えるきっかけになった」「事業内容の違いでなく、社員の都市に対する視座の違いから企業研究が深まり新鮮だった」といった反響もありました。

 
スキは何かを成し遂げる原動力になる。森ビルが取り組む、都市を創り育む仕事は、身の回りに広がる都市や人々の営みに対する愛着や好奇心から始まる。社員一人一人が異なるスキを持ち、既成概念や様々な障害にチャレンジし続けるからこそ、自分も都市も有機的に進化し、ますます面白くなる。
 
等身大の2人の言葉から、そんなことを伝えられたイベントとなりました。


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