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等身大の想いを届けたい。若手社員の「街」の伝え方


開発 、営業、管理、運営、タウンマネジメントなど、「都市を創り、都市を育む」さまざまな業務から成り立っている街づくりの仕事。
「どの仕事にもやりがいがある」と語る入社4年目の小花芳輝さんは、なぜ自分が得意とする分野以外にも好奇心を見出していけたのでしょうか?小花さんの原動力の根底にあるマインドや、モチベーション、街づくりへの想いを掘り下げました。

小花 芳輝|Yoshiki Obana
2019年森ビル新卒入社。大学で都市工学を学び、大学院の修士論文ではアートを用いた街づくりを提案した。入社後は財務部で資金調達や投資家とのコミュニケーションに携わったのち、2022年9月より虎麻・ステーションタワー開業推進室に異動。2023年の麻布台ヒルズ・虎ノ門ヒルズ ステーションタワーの開業に向けたプロモーションの企画、各部署のスケジュール調整などを担当している。

 

「別世界」の街に憧れて、探索し、表現してきた


最初に街づくりに興味を持ったのは2007年の春、地元であるJR津田沼駅南口の土地区画整理事業が都市計画決定したことがきっかけでした。どのようにして街が新しくなるのかという構想を描いたビジュアルを見て「こんなに変わるのか」と、すっかり魅了され、都市開発への期待に胸が膨らみました。

ちょうどその年に、東京・港区の中学校に通うことになりました。たくさんの高層ビルが立ち並び、高級外車が行き交う光景、さまざまな国から来た人々が集まる街並みに感動した記憶があります。そこからは、すっかり高層マンション・高層ビルの虜になりましたね。特にファサード(建築物の正面デザイン)や緑、間取りに興味があって、関東エリアで配布されていた無料のマンション情報誌『マンションズ』を毎週欠かさず眺めたり、実物を観察しに出かけていったりしていました。

家に帰ってからも、Windowsのペイント機能を使って自分なりにデザインしたマンションのファサードや配置計画を一生懸命描いていました。親や友人は、そんな私に「変わってるね」と言いつつも、その真剣さを適度な距離感で見守ってくれて。だからこそ没頭できたのだろうなと思います。

海へ行った時の絵。無心で砂浜の上に描いていくうちに、巨大な作品になった

大学では、都市工学を専攻することにしました。そこで学んでいく中で、「建物」というハードから「街づくり」というソフトへと興味が広がるようになりました。

また、絵を描くことに加えて高校時代から続けていたジャズバンドなど、大学での自由な活動を通して「自分は表現することが好きだ」と強く思うようになりました。ですから、大学院で、「アートを用いた街づくりに求められるコミュニティ像」を研究のテーマにしたのも自然な流れだったと思います。

学生時代に金沢の駅前広場で行ったジャズライブ。街なかで演奏をする機会を通して、自由な表現を認められる街であるためには、そこにいる人やコミュニティが大切であることを実感した
横浜のNPO法人黄金町エリアマネジメントセンターが手掛けたアーティスト・イン・レジデンス(2018年撮影)など、アーティストによる街の解釈をコミュニケーションの起点としたまちづくりの事例も収集した

そして就職先を決めるときは、表現の大切さを胸に抱きながら、「街にいる面白い人たちと一緒に街を盛り上げていきたい」という思いを軸にしていました。文化事業に力を入れており、またアートをはじめ様々な分野に造詣が深く面白い人が多い森ビルへ入社を決めました。

専門とかけ離れていても、面白さを見つけてモチベーションにつなげる

森ビルでは、広く会社のことを学ぶため、入社して最初の数年間はコーポレート部門や事務部門に配属されることが多いのですが、私は財務部に配属され、資金調達や投資家とコミュニケーションを行う仕事に携わることになりました。

これまで学んできたことや得意とするフィールドとは全く異なる分野でしたから、配属が決まった時は正直「どうしよう」と戸惑いました(笑)。しかし同時に、「財務の仕事ができるようになれば、全く違うベクトルの強みを掛け合わせられる。そうすれば、唯一無二の存在になれるじゃないか」と、やる気にみなぎる自分もいたんです。

財務部は定型的な業務も多い部署ですが、初年度の年明け以降はコロナ禍というイレギュラーな事態が起きたこともあり、新しいことに挑戦できる貴重な機会が多々ありました。たとえば、2020年度中間期の決算説明会を会場とオンラインでのハイブリッド開催とすることになった時は、会場とオンライン視聴者、更には別建物の中継場所の3ヶ所を繋ぎ配信を行いました。配信系統や会場のレイアウトまで踏み込んで検討し、これまで会社が経験したことのないことをやり遂げた達成感は今も胸に残っています。

投資家とどのようなコミュニケーションを取れば良いのか、その答えはすぐに見出せるものではありません。自分なりにトライ&エラーを重ねて、伝え方を考えていく必要があります。私が財務部にいた3年間で感じたことは、プロジェクト概要や数字などの事実を淡々と語るよりも、実体験をベースに新しいプロジェクトをどれだけ楽しみに思っているか、街でどんな体験をしていきたいか、といった自分の想いを詳細に語る方が共感を得られるということでした。

虎ノ門には面白いコンセプトの店舗や、社会問題の解決に努めるベンチャー企業があり、プライベートの時間でよく訪れます。そこで働く方々の人柄や、どんな会話を楽しめたのか、対組織として話すのではなく個人として実体験を伝える。森ビルがつくり育む街で生活する生身の人間として接し、信頼関係を築いていくことで、森ビルや街のファンも増えていくと思っています

 「自分らしさ」を隠したり、無理に変えたりしようとせずに、むしろ武器として持ち替える。そうすることで、自分の強みも育てていけるのだと気付かされましたね。

さらに広がる、「街」と「人」への想い

つい先日、私は新しく立ち上がったばかりの虎麻・ステーションタワー開業推進室に異動しました。ここでは「麻布台ヒルズ」と「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」という2つのプロジェクトの2023年の開業に向けたプロモーションの企画などを行っています。

部署が変わっても「街に対する自分の想いをベースに、会社の声をのせていく」という軸は変わりませんが、一方で個人的にチャレンジしていきたいこともあります。

新しい2つのプロジェクトのファンになってもらう、ということを考えるとき、私は「『東京』というコミュニティの中に新メンバーを2人送り込む」ような感覚をもっています。「転校生を迎える人はどういう気持ちで、どう感じたら受け入れてくれるだろう」と考えるんです。

さまざまな人が集まるコミュニティに新しい人が入ってくるとき、その人のこれまでの経験やパーソナリティ、今後のビジョンが面白いと思ったら、もっと話を聞いてみたい、仲良くなりたい、と思いますよね。

街も同じで、さまざまな個性をもつスポットが集まる「東京」に新しい街が受け入れられるには、その街の「過去」「現在」「未来」の面白さが伝わることが大事だと思うんです。例えば、「麻布台ヒルズ」でいうと、土地の歴史や30年以上積み重ねてきた地元の方々との話し合い、街の2つの柱となっている「グリーン」と「ウェルネス」、そして未来への期待感。現在・過去・未来の軸が通っていて、ストーリーに厚みがあればあるほど、街のファンになってもらえると信じています。

こうして街と人を重ねて考えてしまうのは昔からの癖かもしれませんが、「街」と「人」ってなんだか似ているんですよね

森ビルの一員として、すでにスタートしている挑戦もあります。森ビルには、年に1度、各社員が自身の描くキャリアプラン等を会社に申告する制度があり、この仕組みのなかで提出した「事業提案」から始まった社員間の交流促進です。テーマ別交流会の企画や、ランダムにマッチングされた社員同士オンラインで1on1の雑談をするサービスの導入などを、有志のチームで推進しています。

現在1500人以上の社員がいますが、社内ネットワークを上手に広げられている人は限られていて、自分と興味の近い人や面白い人がどこの部署にいるかもわかりません。私自身が社内でつながりを広げていきたいという想いがきっかけですが、社員それぞれのパーソナリティや興味、取り組みが見える風通しのいい組織に変えていくことで、仕事での連携も円滑になっていくと考えています。

まだまだ始まったばかりで、取り組みの規模も小さいですが、少しずつ活動の幅を広げていきたいですね。森ビルが手がける街には、たくさんのユニークな人が集まっています。そういった人たちを知らないままでいるのは、もったいない。ゆくゆくは会社の壁を超えて社外でも、いろいろな人との交流を促せるようになりたいです 。

小花さんの「未来を創る必須アイテム」

仮想デスクトップ
仕事をする時は、タスク別に仮想デスクトップを立ち上げて作業しています。トラックパッドを操作し、他のワークスペースに移れば、同時に頭の切り替えもできる。重宝している機能です。

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